菓游 茜庵
四国徳島城跡をのぞんで佇む、静かな菓子の庵。 上質ながら、遊びごころあるお菓子づくりを大切にしています。 心地よく和と暮らすお手伝いができれば幸いです。
自宅でつくる季節の和菓子「あっことあんこ」
六回目の今日は、秋の節句にまつわるお菓子が登場です。
ところで、あっこさん。9月9日といえば・・・
いえば!!・・うーん・・・何でしょう、師匠。
重陽の節句です。
チョウヨウ??初耳です。師匠。
桃の節句と、端午の節句の日を思い浮かべてみてください。
3月3日と5月5日・・3と5・・・
そうです、奇数が重なる日が節句なんですね。陰陽思想では、奇数は陽の数、偶数は隠の数とされます。
陽数の最大の数ある9が重なる日。なので、重なる陽と書いて、重陽の節句。
あー!なるほど。
3月の節句が「桃の節句」と言われるように、9月の節句は「菊の節句」という愛称がついています。
今日はその菊になぞらえたお菓子を作りましょう。着せ綿というお菓子です。
わたを・・着せますか?
そうです。菊に綿を着せます。平安時代には、前日8日の夜に真綿で菊をおおい、翌朝これを顔にあてて、その露と香りで美しさと健康を祈ったそうですよ。
美と健康!やっぱり美と健康!
そうです、美と健康(笑)変わらぬ願いですね。
いつの世も 女子の願いは美と健康
少々前置きが長くなりましたが、「着せ綿」のレシピはこちらです。
【あっことあんこの 着せ綿】
・白あん:500g
・小麦粉:25g
・上用粉:25g
・上白糖:60g
・着色料:ピンク(菊の色味であれば、お好みのもので大丈夫です)
*三角ベラ
*つまようじ
*漉しざる
今回つくる生地は、「こなし」です。まずは粉類と白あんをまぜる。
これもあんこですよね
そうですね、あんこの一種です。白あんに粉類を加えて蒸しあげ、十分に揉み込んだものですね。
ほどよい粘りがあるのでいろいろと細工がしやすい生地で、今回の着せ綿にはぴったりです。
粉類が見えなくなるまでしっかりと混ぜます。
なんで「こなし」っていうんですか?
こなしの名前の由来は、生地をもみこなして使うことからこの名前がついたと言われます。
京都からひろまった製法ですね。
なるほど・・
蒸し器にこの生地をちぎり入れて、強火で30分ほど蒸しましょう。
蒸しあがった生地は、布巾のうえで合体させて、よくもみこみます。
生地がさめないうちに、色つけの工程にうつりましょう。
どれくらいの色にしますか?
そうですね、まずは生地の一部にしっかりと色をつけて
こんな感じですか
そうです、そしてそこから白の生地とあわせていけば、失敗せずに、好みの色あいにできますよ。
こしあんをくるんと包んで、土台の完成です。
軽く粉をつけて、扱いやすくしておきましょう
和菓子職人みたいな道具が出てきた!
そうですね、三角ベラ、三角棒とよばれています。
まずは頭頂部にあたるところにチョン、とつまようじのようなもので印をつけておいてください。
下から頭頂部に向かって、筋をいれていきます。
わ、難しい 笑
そうそう、グッと、ひと思いに(笑)この繰り返しで、菊の花びらをかたどっていきます。
最初こそ手こずっていた あっこちゃん、2〜3個目からは、すいすいと手がすすみます。
菊の花びら、完成です。
綿は2種類の乗せかたがあります。かたまりで乗せてもいいし、漉した生地を、そぼろのようにのせてやってもいい。お好みですね。
師匠すいすいやってますけど、このそぼろ難しいなあ(笑)高さがそろわない。
不揃いな姿もまた、手作りの魅力ですよね。
2種類の綿がのったところで、完成です。
今回は、ちょっと趣をかえて、茶席で食べてみましょうか。
なんか緊張する・・座り方、あってますか?