【第四回】あっことあんこの
水無月づくり
自宅でつくる季節の和菓子「あっことあんこ」
早いもので、今回でもう四回目となりました。
ご縁は深く、実は20年来(!)のお付き合い。
私たちが、あっこちゃんを和菓子づくりに誘った経緯について、詳しくはこちらから。
さて今回は、6月末ならではの
「厄祓いのお菓子」が、登場ですよ。
あっこ:
師匠、前回は後半にどえらい難しさでしたよ
*ちまき作り編参照
松村:
(笑)ちまきは笹をまくところが
ちょっと手間ですよね
今回は、水無月をつくります。
あっこ:
今回も難しいですか?
松村:
いやいや、今回は流したお菓子を
三角にカットするだけ。
比較的、簡単と言っていいんじゃないでしょうか
あっこ:
ほんまかいな〜・・・
ちょっと疑いの目の あっこちゃん
さあ 今回の材料は、こちらです。
【あっことあんこの 水無月】
材料 (15cm角の枠を使用の場合)
・本葛粉 25g
・白玉粉 15g
・上新粉 50g
・小麦粉 40g
・上白糖 180g
・水 280g
・鹿の子豆(=小豆の蜜煮):120g
*15cm角程度の枠(お菓子を流して蒸すのに使います)
*ビニール
*セロハンテープ
本日はじめは、枠の底をビニールで止める作業から。
松村:
この枠にお菓子を流し蒸しあげていくので、
まずは底を耐熱ビニール張りしていきます。
よく絞った布巾でも代用可能です。
あっこ:
(作業をしながら)水無月(みなづき)、初めて聞いた。
これも季節のものなんですか?
松村:
まさにそうです。6月の晦日(みそか)、つまり
最後の日に食べる 暑気払いのお菓子ですね。
お菓子の仕上がりは三角形をしているのですが
それは、氷のかけらを表しています。
あっこ:
氷!
ちゃきちゃきと計量しながら、水無月トークが続きます。
松村:
昔は氷なんて、庶民は食べられないですからね。
憧れの存在を、形で模したと。
上に散らした小豆は、厄除けの意味という説と、氷室の上に散らばった
木の葉を模したものだという説と。前者のほうが一般的ですね。
小豆の「赤」は、邪気を払う色として
古くから重宝されていたようですよ。
あっこ:
あんこも小豆も、昔から日本人に愛されてきたんやなあ・・・
松村:
日本で冷蔵庫がつかわれだしたのは
明治に入ってからですもんね。
洗濯機も、掃除機も、なかった時代です。
平安から明治にかけての暮らしに想いをはせて
話がはずむ、二人とともに
おかし作りは続きます。
本葛粉・水・上白糖をあわせて熱を加えます。
松村:
85度程度まで熱を加えたら、
その他の粉類と合わせてかき混ぜ、一旦こします。
松村:
100gをとりわけ、残りの液を
枠に流しこんでください。
ひとまず土台が完成。これで35分間蒸しあげます。
蒸しあがった土台に化粧をしていきます。
松村:
蒸しあがったら表面の水分を捨て、ぬめりを取り除いてください。
残しておいた100gの液を流し入れ、
鹿の子豆をしきつめていきます。
ここまで出来たら、再度蒸しあげます。
今度は15分。
待ち時間にも、花がさく。
様子を覗きにきた庵主もまじえ、待ち時間は あっことあんこ恒例の脇道トークです。
あっこ:
6月末に水無月を食べるというのは
よく知られてるんですか?
松村:
(庵主のほうを振り返りながら)
徳島ではあんまり、ですかねえ。
庵主:
あっこさん、「夏越しの祓」って聞いたことありますか?
あっこ:
初めて聞きました。
庵主:
半年間の間に知らず知らずの間にたまっていった
心身の穢れや厄災を祓い清めて、残りの半年を
元気に過ごしましょうというような、
6月の晦日は、いわば半年間のけじめの時期なんですね。
水無月も、この行事と結びついたお菓子です。
茜庵も、もうすぐ茅の輪の飾りをご用意して
お客さまをお迎えします。
あっこ:
へー!
気がつけば、はや半年。
大人になったら日が経つのが早いですねえ、と
しみじみしながら、さあ仕上げです。
さあ!三角形にカットして仕上げましょう。
松村:
粗熱がとれたら、艶天(寒天水や砂糖水)を塗ると、仕上がりに艶がでます。
十分に冷めたことが確認できたら、
包丁を入れて、枠から外します。
松村:
さらにここから、6.5cmの正方形にカット。
大きな包丁を使うと作業しやすいので・・
使ってみますか。
と、ここで大きな包丁がじゃーんと登場
あっこ:
わ!!ヤマンバの包丁がきた!
松村:
羊羹包丁という名前があります(笑)
で、これをさらに半分にカットして、出来上がりですね。
あっこ:
三角形になった!
ばっちり三角形に形がきまったところで、完成です。
さあ恒例の、あっことあんこのティータイム。
松村:
季節のものをということで、今回はさっぱりと、山桃のじゅうすもご用意しました。
山桃の収穫も、ちょうどこの時期なんですよ。
あっこ:
綺麗ー!
松村:
無着色ですから、自然の力ってすごいですよね。
あっこ:
私も昔、学校の実習で山桃とってジャムにしたことがあります。
松村:
(笑)徳島の人にはなじみが深い木ですよね。
ただ、茜庵のじゅうすに使う山桃は、すごいんですよ・・
すごい山奥の、深い深いところで、農家さんが木登りしてコロコロと手で転がすように収穫していくんです。
なので、大粒で、えぐみがありません。
あっこ:
ほんまに、爽やか。
松村:
(水無月を食べながら)生地のバランスも、うまくいきましたね。
あっこ:
嬉しい!サイズもちょうどよかったです。
残りはオルヨチームに、お土産です。
二人で美味しくぺろりと食べきって、厄祓い。
お疲れ様でした、あっこちゃん!