茜庵

コラム

石の上にも、40年。

和の遊びごころが たっぷりつまったこだわりの空間、茜庵本店の見所をご紹介。
ちょっとした旅気分で、常連のお客様は 再発見のお気持ちで、お楽しみいただけると嬉しいです。

前回天井を見上げていただきましたので (→歌う天井、見上げてみれば
今回は、ぐっと目線を下げていただきまして、足元の石の話です。

穴太衆(あのうしゅう)が来たぞ

城好きの方ならご存知かもしれません、穴太衆(あのうしゅう)。
織田信長が活躍していた安土桃山時代の石積みのスペシャリスト集団にして、
一世を風靡した「安土城」建築の立役者。
彼らの技術で積み上げた石垣は、現代ではコンクリートブロックに勝る強度が立証され、
高速道路の擁壁にも採用されているのだとか。
すごい。その技術は現代まで受け継がれています。
庵の建築の際には、現代の穴太衆の皆さまに、はるばる滋賀県からお越しいただきました。
積んではバランスをみて、また外して、一週間かけてじっくり組み上げてもらう日々。
あれからもう何十年もたつけれど、台風の多い四国徳島でもしっかりと庵を守ってくれています。

穴太積み(あのうづみ)の特徴は、野趣あふれる趣の美しさ。
野面積み(のづらづみ)と呼ばれるそうで、野生の石を組み上げるから、二つとして同じものがない、まさにオンリーワン。
でもお城だったら足をひっかけるところが多そうだから、ちょっと登りやすそうに感じるのもまた、ご愛嬌。

木・土・竹・草・石。


緑豊かな日本では、古来から木が主な建築材料でした。
何世代か先に家を新築する可能性を見越して、自分の山で木を育て、子孫に残す習慣もあったのだとか。
庵もその慣習にならい自然の素材でできていて、さまざまな場所に置かれる石は、その礎となります。

山からきたか、川からきたか。

石の種類は、大きくわけて「山石」と「川石」に分かれます。その名の通り、川からきたか、山からきたか。

喫茶席には、琵琶湖に注ぐ安曇川(あどがわ)の川石。
川石は、湿気を遮断する力が強いので上に続く柱を大切に守ってくれます。

庭にてん、てん、と置かれる飛び石に、どこか古い家屋からお嫁にきたのであろう、遊びの長石。こちらは、山石。

庵の玄関。行儀よく並んだ丸石は、「ごろた石」。手前は、深草(ふかくさ)仕上げ。
深草は石ではなくて、京都の深草地域の土を使った左官仕上げ。
その昔、京都が湖の下にあった時代の土だそうで、今となっては採掘が難しく、貴重な存在となっているそうです。
深草自体が京都市の「まちづくり・お宝バンク」に登録されているのだとか。お宝ナンバーは、125番。

茶席の縁の下にも、ごろた石。
強いと評判の栗の木の下に並んだ姿は、ころんと愛らしい栗ぼうしにも似て。
こちらも手前は、深草。
・・・・・
天井に続く今回は、足元めぐりもどうぞというお話でした。

おまけ:昼さがりに、のんびりと昼寝をたのしむ石たち。いいなあ。

菓游 茜庵

四国徳島城跡をのぞんで佇む、静かな菓子の庵。 上質ながら、遊びごころあるお菓子づくりを大切にしています。 心地よく和と暮らすお手伝いができれば幸いです。

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