茜庵

コラム

歌う天井、見上げてみれば。

和の遊びごころが たっぷりつまったこだわりの空間、茜庵本店の見所をご紹介。
ちょっとした旅気分で、常連のお客様は 再発見のお気持ちで、お楽しみいただけると嬉しいです。

茶室の中にある、菓子店

いささか聞きなれない分類となりますが、茜庵本店の建物は、建築の世界では「茶室棟」に分類されます。

和菓子屋をはじめたいから和風の建物に茶室をつくったのではなくて、本物の茶室を作って、そのなかに店舗を構えたという、ちょっとマニアックな和の空間。
それだけに、和の遊びごころが たっぷりつまっています。

まずは、歌う天井がお迎え

暖簾をくぐると、いらっしゃいませ、の声とともにお迎えするのが、「網代天井」。
別名、歌う天井。
「網代(あじろ)」とは薄く加工した木材を編み込んで、市松模様に編み込んだもの。
薄く繊細な木材を編み込んでいるので、人が通ると さらさらと音を立てます。
これが「歌う天井」と言われるゆえん。

その昔、賊が家に侵入した時に、音を立てて知らせてくれる、天然の警報機でもあったそうですよ。

毎年春に、新人スタッフをビクっとさせるのも、茜庵の風物詩。

続くテーブル席には、2種の天井

店舗スペースから、椅子とテーブルを要した喫茶スペースに続きます。
見上げてみれば、天井に段差があることに気がつきます。
この段差は、庵主のおもてなしの気持ち。
写真手前の天井が下がっているのは、スタッフの勝手口に近いから。
少しカジュアルな「落天井」は、ガマと竹で作られた仕立て。

奥側のお客さま専用スペースは、一段高く設計されています。
ここは、木目がはっきり出ていて、ちょっとワイルド。
この杉板は「砂ずり仕上げ」といって、ジョリジョリと砂で磨いて、野性味のある雰囲気に仕上げています。
理由は、のちほど。

茶室本席には、品よい おすましさん

最後になりました、喫茶スペースの奥に見えるのが、八畳の茶室。
茜庵の空間の中で、もっとも格上となるのがこのお部屋。
こちらの天井は、癖のない、さらりとした仕上げ。
先にご紹介したお部屋をワイルドな天井で仕立てたのは、コントラストをお楽しみいただく、遊びごころ。
すべすべと滑らかな質感の、雪国秋田で育った秋田杉が、緊張感ある上質な空間を支えます。

本日は、茜庵本店を、ぐるりと天井めぐりでお楽しみいただきました。
人もいろいろ、天井もいろいろ。庵にお立ち寄りの際には、ぜひ 見上げてみてくださいね。

この記事で紹介したお菓子

代表銘菓「淡柚」あわゆう

まるで赤ちゃんのほっぺのように柔らかな羽二重餅で、翡翠色の柚子の餡をつつみました。創業以来かわらぬ、茜庵の代表銘菓です。
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菓游 茜庵

四国徳島城跡をのぞんで佇む、静かな菓子の庵。 上質ながら、遊びごころあるお菓子づくりを大切にしています。 心地よく和と暮らすお手伝いができれば幸いです。

菓游 茜庵のこと

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