菓游 茜庵
四国徳島城跡をのぞんで佇む、静かな菓子の庵。 上質ながら、遊びごころあるお菓子づくりを大切にしています。 心地よく和と暮らすお手伝いができれば幸いです。
暑さのなか、ようこそお立ち寄りくださいました。
徳島の夏を彩る 本藍染。藍の色には、その深さによって48もの名がつけられているのだとか。
はんなりと 優しいブルーの 「甕のぞき」
ほんのり 緑かかった 繊細な 「浅葱色」
繰り返し染めることで生まれる 奥深い「濃藍」
夏を彩るグラデーションに ふうわりと、阿波和三盆の優しい余韻。
お菓子とあわせて、八月は藍色を重ねた室礼。軸は すだちの書簡、田山方南から入江正信へあてたもの。
交流のあった入江弁護士から 酢橘が届いた、ありがとうの文ー
陽の風情で、茶目っ気たっぷりに描かれています。
遠州好の鮟鱇茶入に、善五郎 秋草と重ねます。
蒟醤(きんま)の香合で、朱のスパイス。
「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。
阿波っ子には馴染みの深い「竹ちくわ」ほどのサイズの小ぶりなお軸。
さらりとした 椅子と団扇の絵に、一句。酒の席で話がはずんでのことなのでしょう。すいすいと走る筆、こちらも陽の風情。
「夕涼みよくぞ男に生まれける」 -こちらは四条派の画家、五井金水と岡島友仙の合作。
夕涼みを詠んだ宝井其角の句は 軽妙でわかりやすく、いかにも江戸風。
夏の夕暮れ、風呂上り。だらしなくはだけさせた浴衣の胸元に 団扇をあおぎながら、奥の目を盗んで お酒をチビリ。
「はー男って最高ー」 なんてリラックスしている江戸っ子の声が 聞こえてくるような。
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しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。