菓游 茜庵
四国徳島城跡をのぞんで佇む、静かな菓子の庵。 上質ながら、遊びごころあるお菓子づくりを大切にしています。 心地よく和と暮らすお手伝いができれば幸いです。
これは漆のうつわーそう聞いただけで、
お手入れが難しそうだし、高そうだし、なんだか億劫・・・
可愛いけどなあ、と呟きながら、おずおずと手を引っ込めて。
けれども茜庵では、お客様に柚子のじゅうすをお出しするのは、
漆の高坏。お運びも、漆のお盆。
あっちにも漆、こっちにも漆。
日々じゃぶじゃぶと水洗いをされている姿に、
なんだ、あなたは意外と話せるじゃない。
一気に身近な存在になりました。
実は縄文時代から使われてきたのだという、漆の器。
語源は、「うるわし(麗し)」や「うるむ(潤む)」と
言われます。枝が折れたり虫や動物に傷つけられたときに、
にじみ出して傷を守ろうとする樹液なので、
耐水性があるのが特徴。
酸やアルカリにも強いのが使ったあとは、
ぬるま湯か薄めた中性洗剤をつけたスポンジで優しく洗い、
柔らかい布ですぐに拭く。
急な温度変化には弱いそうなので、
電子レンジや食洗機、つけおき洗いだけ、NGです。
先日、フードスタイリスト高橋みどりさんの
個展に伺った際に、自分のために初めて買った器が、
漆の汁椀だったのだと教えてもらいました。
炊きたてのごはんと美味しい味噌汁が、
料理の原点なのだそう。
とろりとした漆の質感は、
それだけでちょっと日々の気持ちを
豊かにしてくれるような、大人のたのしみ。