菓游 茜庵
四国徳島城跡をのぞんで佇む、静かな菓子の庵。 上質ながら、遊びごころあるお菓子づくりを大切にしています。 心地よく和と暮らすお手伝いができれば幸いです。
長月の喫茶に、ようこそ。
暑さも少しずつ、和らいできましたね。
風にゆられて
そよそよと可憐にゆらぐコスモスを
イメージして
中はふっくらと炊き上げた
丹波大納言の粒あん。
秋の入り口、軽やかさは残しながらも、前月と比べて秋の気配をぐっと深めたコーディネート。
・お軸 葉々起清風 ようようせいふうをおこす
・花入れ 唐籠
・香合 塗 虫かご
・茶碗 秋草の平茶碗
・水指 竹張釣瓶
・棗 一粒万倍
・脇床 秋草のうちわ
花かご(唐籠)にいけられる花は、奇数がルール。まだまだ暑さが続くので、二色の竜胆(りんどう)をあしらって、数合わせ。
秋のムードを高めるのは、茶碗に香合。
虫かごの形の香合。天面に きらりと鈴虫がみえるのも、小粋な和のあそび心。
秋の七草をあしらった平茶碗は、優美さと手にとったときの暖かさのバランスが、季節の気分。
棗にかかれた「一粒万倍」。一粒の種子をまけば、実って万倍もの収穫を得ることができるという意。
ふたの裏にも、籾(もみ)があしらわれて、こちらも職人の遊び心を感じます。
「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。
茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。
・茶碗 見返り兎
・棗 秋草
・蓋置 三つ兎
・水指 瓢の手桶
・壁面 重陽の香飾り
茶碗に描かれるのは、見返り兎。道に迷った際に兎に導かれ、無事に目的地へたどり着くことができたという故事から、縁起柄のひとつ。
蓋置には三匹の兎がまあるく、輪になって お餅つき。
今年の十五夜は、十月一日になるのだそう。
美しい月がおがめると、いいですね。
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しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。