茜庵

葉月(八月)のお菓子:酔芙蓉

葉月の喫茶に、ようこそ。


暑さのなか、ようこそお越しくださいました。

八月のお菓子の銘「酔芙蓉(すいふよう)」

朝咲いて 夕には散ってしまう
はかない夏の花
一日のなかで、白から濃い桃色にその花の色を変えていくことから
その名がつけられました

ぷるりとした食感に
無花果の餡で アクセント

八月の本席(奥の八畳の茶室)のしつらい

今月は、畳のお席が大きく模様替え。
長板を用いて 一層涼やかに、そして ほんのりと、秋の気配。

・お軸 葉々起清風 ようようせいふうをおこす 
・花入れ 鮎籠
・香合 瓢(ひさご)
・茶碗 つゆ草
・棚 溜精棚(りゅうしょうだな)
・水指 藍染ガラス 
・棗 住之江
・建水 芋頭
・脇床 秋草のうちわ


立秋(8/11頃)をすぎ、暦の上では秋がきているけれど、まだまだ暑さが続きます
軸は、別れの名残惜しさを歌ったもの
竹の葉一枚一枚が さらさらと音をなして、
別れを惜しむかのようにさわめき、清風を送ってくれている
トンボがすっと横切って 秋の気配を感じさせます


お茶碗は、つゆ草。こちらも
秋の花ですが 仕立ては平茶碗なので、涼しげな夏の名残。


棗は、大阪の住之江海岸に寄る波に なぞらえた恋のうた
百人一首から「住之江の岸による 波よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ」

自分の好きな人が、最近夢に全然現れなくなった。
人目を気にしなくていい、夜であるのに・・
これはもう、相手が私のことを好きではなくなったのではと
悶々とする 切ない乙女心

平安時代の貴族たちにとって、夢には特別の意味がありました
男性が自宅に訪れてくれるのをじっとまつのが、当時の雅な女性のたしなみ
自分の夢に出てこなくなった=相手の気持ちが離れてしまった、という
なんとも独特の解釈をしていた貴族の乙女たち

いやはや、今聞くと ユニークですが
当時の乙女たちは、真剣に悩んでいたのでしょうね


こちらの建水(けんすい)は
茶碗を清めたり温めたりしたときに使った湯水を 捨てるために使うものです。
芋頭とは、里芋の親芋のこと。
秋草のうちわとあいまって、秋の風情を加えます

立礼席のしつらい

「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。
茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。
こちらもお盆を迎え、少しお色なおし。

・茶碗  みずひき草
・棗   ギヤマン  
・蓋置  吹雪 
・水指  ギヤマン
・壁面  鉄線(クレマチス)の香飾り


茶碗は、むかし茜庵によく通ってくださった
お茶の先生をしのんで お手製のひとしな
プロの作品ではありませんが 素朴な優しさがしのばれます。

庵にお立ち寄りの際には、ぜひのぞいてみてくださいね。

・・・・
しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。

菓游 茜庵

四国徳島城跡をのぞんで佇む、静かな菓子の庵。 上質ながら、遊びごころあるお菓子づくりを大切にしています。 心地よく和と暮らすお手伝いができれば幸いです。

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