茜庵

水無月(6月)のお菓子:夏越し

初夏の茜庵に、ようこそ。

紫陽花の艶やかさに目を奪われがちですが、しとしとと優しい雨音もまた、季節のごちそう。

六月のお菓子の銘 :「夏越し」


今年の六月は お客さまにどうしても召し上がっていただきたい、そんな歳時菓をご用意いたしました。

「夏越しの祓」(なごしのはらえ)

今は昔 ただ夏を越すことも 容易ではない時代がありました。
先人たちが行ったのは、半年間の間に知らず知らずの間にたまっていった 心身の穢れや厄災を祓い清めて、一心に祈りをささげること。
残りの半年を 元気に過ごせるよう6月の晦日は、いわば半年間のけじめの時期とされました。


茜庵でも、まもなく茅の輪の飾りをご用意して お客さまをお迎えします。
今月の「夏越し」は、この行事と結びついたお菓子。

白胡麻に葛・小豆をたっぷりとつかって
瑞々しく、風味ゆたかに仕上げた一品

昨年に続き、いつもと違う夏をむかえることになった 2021年の夏
どうぞ お元気で乗り越えていただけますようにと
そんな気持ちをこめて、お仕立ていたします。

六月の本席(奥の八畳の茶室)のしつらい

夏は、いかにも涼しきように。
花入れの「鮎かご」には、蛍袋とホタルガヤを活け入れて。

続く団扇にも 鮎を重ねて、あそびます。

木目が涼しげな 香合は、瓢箪に朝顔。

立礼席のしつらい

「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。
茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。

今月は、ちょっと面白いお軸がかかっていますので ご注目あれ。

江戸時代前期の武将、井伊直孝から家臣の三浦内膳にあてた夏の手紙を表装したもの。
山椒の消息についての記載ですが、山椒とは実は、「薔薇の花」のこと。
美しい花をもらったことへのお礼からはじまって、
よくよく読んでいくと、「うちの庭では、虫喰いがひどくて・・」なんて書いているから、面白い。
家臣への心遣いをみせる 武将のやわらかな一面が 見え隠れ。

蓋置きの鮎も、夏あそび。
・・・・
しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。

菓游 茜庵

四国徳島城跡をのぞんで佇む、静かな菓子の庵。 上質ながら、遊びごころあるお菓子づくりを大切にしています。 心地よく和と暮らすお手伝いができれば幸いです。

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