茜庵

いとしの日本食:生麩をめぐる冒険

ああ、お麩が食べたい。

食欲の秋、食欲の冬。
先日、無性に生麩が食べたくなった。
けれども、ここはウィーン。
生麩を買おうにも、どこのスーパーにも売っていない。
レストランでも食べられない。
諦めるか、作るか・・・10秒悩んで、
よし、作ろう。

ヨーロッパでも、いま日本食はとても人気なんです。

いそいそと調べると、生麩はどうやら、
強力粉と白玉粉があれば作れるみたい。
強力粉も白玉粉も台所にあるじゃない!
早速ネットで調べたレシピ通りに
きっちりこねて、完成。
だけれども、日本の粉と違うからなのか、
なんとも頼りのない白い物体が、
ぺろんと出てきた。

違う、これじゃない・・・
もっちりした、生麩が食べたい。

行き着いたのは、ボディービルダー専門店。

さらに調査をすすめると、
どうやらグルテン粉(これも小麦粉の一種)なるものが必要らしい。
ならばと、今度はこの粉を探すことにしたけれど、なかなか見つからない。
ようやく1件、どうやら健康食品を販売する店にあるらしい。しかし、遠い。

40分かけてなんとか行き着いた先は、
郊外の住宅街。忽然と現れた
ボディービルダー御用達店が、目的の店だ。

だだっ広い店の奥に、
いかついお兄さん店員2名がスタンバイ。
実にシュールな光景。そしてついに!
しらたきの近くに鎮座するグルテン粉を発見。

へえ、しらたき食べるんだ、ウィーン子も。

往復1時間半の小旅行を経て
無事手に入れたグルテン粉。生地に胡麻や
よもぎを入れたり、生麩で粒あんを包んだり。
もちもちの食感づくしに、一人悦に入るワタシ。

自分好みは、自分でも作れる。

海外での暮らしはもう十年以上になるけれども、
ふとした瞬間に「ああ、日本のこれが
食べたいなあ・・」の波がおそってくる。
そんなとき、グっと我慢をするのも
ひとつだけれども、それって
ちょっと寂しい。

「まあ、ちょっとやってみる」軽さも、
こちらでの暮らしで身につけた、
心地よさをつくる手段のひとつ。
ダメでもともと、自分好みの味ができたときは、
毎回ちょっとした、感動だから。

中村 洋子

中村洋子

神奈川県生まれ。 都内で美術館の広報・国際交流スタッフとして勤務。 国際結婚を期に、ヨーロッパへ移住。ウィーンを経て、今はNYに在住。 茶道や海外の友人との和食作りなど、自宅で無理せずに和を取り入れる方法を模索中。 趣味は美術・音楽鑑賞、語学学習、アクセサリー製作、観劇(特にコメディー)、弓道(しばらくお休み)。 モットーは、「何とかなる」

難しいことは、抜きにして」バックナンバー

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